寄生虫による感染症の恐怖

蚊 寄生虫は言葉としては、一般的には回虫やサナダ虫といった目視できる種類に対して用いられますが、病理学的には感染症を引き起こす種類を指すことが多く、中でも蚊が原因となるマラリアは代表的なものの1つになります。

マラリアは寄生虫感染症の中でも危険性が極めて高く、厄介な点として、原因となるマラリア原虫が遺伝子を変化させてしまうことがあります。
遺伝子を変化させることで耐薬剤性を獲得し免疫防御を巧みに回避する方向に進化をしており、これまでも医学界ではワクチン開発においてイタチゴッコを強いられています。

マラリアは寄生虫であるマラリア原虫を持った雌のハマダカラカに刺されることで感染する、高熱を伴う急性熱性疾患です。
原虫は5種類が確認されており、特に、熱帯性マラリア原虫と三日熱マラリア原虫は生命に大きな危険をもたらすことが知られています。

マラリアは通常、蚊に刺されてから7日以上経過して発症しますが、初期症状が軽いために気づかないことも多く、人によっては1年以上はっきりとした症状が無い場合もあります。
しかし、潜伏後は、悪寒、震えとともに高熱を発症し、中でも赤血球への感染は甚大や被害を及ぼします。
まず、感染をした赤血球は表面に種々の原虫由来物質を出すようになります。
その結果、臓器を中心に血管内皮への血球の固着から多臓器不全を起こすことになり、重症化してしまうと合併症を引き起こし死に至ることになります。

日本における寄生虫感染症には地域特有のものもあり、その中の1つにエキノコックス症があります。
エキノコックス症は、エキノコックスと呼ばれる寄生虫によって引き起こされ、時として北海道で問題になります。

エキノコックスはキタキツネを媒体の1つにしています。
親虫自体は非常に小さく、キツネや犬の腸に寄生しており、糞と一緒に排出された卵は野ネズミの口から体内に入り、肝臓などで幼虫になります。
幼虫を宿した野ネズミをキタキツネが食べることで腸の中で親虫になります。

人間がエキノコックス症にかかる理由としては、排出された卵が何らかの機会にヒトの口に入ってしまうことがあります。
エキノコックス症の特徴には肝障害があり、厄介な点としては、肝臓などに幼虫が寄生してしまうと症状が出るまで数年から10数年かかることがあります。
治療には手術が必要になり、肝障害を起こすことで、最悪の場合には病巣感染をきたして重篤となるケースもあります。
また、脳へ転移してしまった場合は、意識障害やけいれん発作を起こします。

エキノコックス症は、現在、北海道全域に拡大しつつあり、かわいいからといってむやみにキタキツネに触らないようにする必要があります。

アニサキスは激痛を伴う身近な寄生虫

アニサキスは、国内においては従来から知られている寄生虫の1つです。
もともと、イカやサバ、イワシ、アジなどの魚介類に寄生をしており、有名なものとしてはカツオがあります。

アニサキスの症状には特徴があり、最も大きなものとしては腹部への激痛と吐き気があります。
症状は寄生虫が侵入した場所によって異なり、胃の場合には食後数時間程度で激痛を覚えることになり、腸の場合には1週間程度経過をしてから腹部に激痛が現れます。
人によってはじんま疹や発疹を伴うケースがあり、特に軽症型の場合には、適切な対処をするためにも医療機関での診察を受けることが大切です。

アニサキス症の原因は、体内に侵入をしたアニサキスが暴れ回ることで症状が起き、軽症型の場合にはアニサキスを駆除してしまえば症状は治まります。
しかし、暴れすぎてしまうと胃や腸の壁を突き破ってしまうことがあり、この場合には激しい痛みを感じることになります。

アニサキス症の場合には軽症型、劇症型に限らず激痛が走ることになりますが、劇症型の原因は体内にできたアニサキス抗原による発作があり、消化管の痙攣や収縮が大きな原因になります。
そのために、アニサキスを取り除いてもすぐに症状は回復せず、とても厄介です。

アニサキス症の治療では、胃にアニサキスがいる場合には内視鏡を用いて摘出します。
また、人体中では1週間程度で死んでしまうために、摘出が嫌な場合には対処療法だけでも治すことができます。

アニサキス症を避けるには魚介類の生食をしないことが最も効果があるものの、実際の生活上では難しい面があります。
しかし、加熱調理や、一度冷凍したものを調理することなどによって予防をすることはできます。
アニサキスの特徴として冷凍処理をすればほとんどが死滅してしまうことがあり、一度冷凍したものを解凍して食べる場合は、ほとんど問題はありません。